目次
はじめに
4月中旬、
トランプ大統領がAmazonに「税金もっと払いなさいよ」的なことをツイートしてAmazonの株価が下落、
ベゾス氏の資産が億単位で吹っ飛ぶなどのNEWSが聞こえてきました。
知っている人は知っているかと思いますが
実はAmazonは日本では税金を払っていません。
2017年度のAmazonの日本での売上高は円ベースで1兆3335億円。
じゃぁなんで?
こんなにAmazonギフト券も買ってるのに日本に還元してくれないのかよAmazon・・・
「無知とは最大の罪なり」※民明書房大全~租税回避の章~第3節147項より抜粋
ということで調べてみました。Amazon式節税方法。
まずはベゾスとトランプ、二人の関係性
ジェフ・ベゾス
Amazon.comのCEO(54歳)
にして世界最大の資産家。
生後間もなく両親が離婚、母親にひきとられその母親はベゾスが5際のときに再婚。
高校時代にコンピュータへの興味が湧き、大学では物理学を専攻。
大学卒業後、一般企業で働くも1994年退社、その年にインターネット書店「Cadabra.com」をスタート。
翌年の1995年「Amazon.com」と社名を改め本格的な経営をはじめ今に至る。
ドナルド・トランプ
アメリカ合衆国の第45代大統領(71歳)
不動産会社の社長兼会長でもある。
生まれも育ちもN.Y。不動産会社を経営する父の元、裕福な家庭で育った。
学生時代に素行不良で陸軍幼年学校へ転入させられたりもしている。
大学卒業後、父の経営する不動産会社へ入社。
入社からわずか3年後に会社の経営権を与えられる。
2016年アメリカ合衆国大統領選挙に出馬。ヒラリー・クリントンを下し大統領に就任。
1代叩き上げでAmazonを作り出した苦労人ベゾス
と
絵に描いたようなエリート街道を進んできたトランプ
実はトランプが大統領になるより前に2人はTwitterで殴り合いをしています。
トランプ「Amazonのワシントン・ポスト買収は税金逃れ」「Amazonが本来の税金払ったら株は紙くずになる」
ベゾス「ブルー・オリジン(ベゾスの宇宙開発企業)のロケットでトランプを宇宙にとばしちゃうぞ」
プロレスでやってるのかと言わんばかりの毒舌の応酬ですね。
※Amazonがワシントン・ポストを買収したことにより?アンチ・トランプメディアの急先鋒となりました。
トランプ怒りの原因3つ
税金の支払いを逃れているのにアメリカの郵便システムをこき使っている。
具体的にはAmazonの配達コストについて一つ配達するごとにアメリカ合衆国郵便公社は1.5ドル
赤字になっている。けしからん!ということです。
Amazonの事業拡大によって店舗型の小売店の廃業や一部チェーン店の倒産が相次いでいる。
けしからん!ということです。
自動化への開発投資を推し進めるので将来的に雇用が先細りする可能性がある。
全くもってけしからん!ということです。
にしても大統領がいち企業に対して「郵便詐欺師(Post Office Scam)」呼ばわりは中々に重いパンチですねぇ・・・
株価への影響
Twitterでの
トランプ大統領の発言内容を受けてAmazonの株価が4.5%下がるという事態にまで発展。
課税強化、独占禁止法に抵触しているのでは?と。
ただ、Amazonへの高い評価はそのままですが、もしもアメリカ政府機関などが動き出せばその限りではないとの見方もあるようです。
なぜAmazonは日本で法人税をはらわなくてもよい?
Amazonの日本における業務はアメリカ本社の小会社である2つの会社が行っています。
販売業務→Amazonジャパン株式会社
物流業務→Amazonジャパン・ロジティクス株式会社
この2つの会社へ本社が手数料を支払うカタチで日本の業務を肩代わりしてもらい、
主要な機能はアメリカ本社へ集中させています。
Amazonジャパン株式会社
はあくまでECサイトの「運営サポート」を行っています。
Amazonジャパン・ロジティクス株式会社
は「物流業務サービス提供」
ここがポイントで、Amazonは「販売業務」は行っていないということなんですね~。
つまり『Amazon.com Inc.』は日本には恒久的施設(PE)を持たないということになります。
ユーザーが日本国内でAmazonを利用して商品を購入した場合、アメリカの『Amazon・ドット・コム・インターナショナル・セール』が
販売したことになり、アメリカに売上が吸い取られるカタチになります。
日本の2つの小会社の利益は業務を肩代わりした分の手数料のみとなり、ほとんど残らないため法人税は払わなくてもよいという事です。
そんな方便絶対に許さんぞ!ということで
日本の国税局も2009年に追徴課税を発動。
その額なんと140億円・・・
が、しかし、Amazonは既に売上はアメリカに納税しているので日本にも払ったら2重で納税することになるやんけ!
ということで日米二国間協議を発動。
日米租税条約では
『恒久的施設(PE)』を日本国内に持たないアメリカの企業は、日本へ納税する必要はないって言ってるじゃないか!と
国税局のターン!
- 巨大な物流の拠点をもっている。
- センター内で使用されているPC、機器等がアメリカの関連会社のもの。
- アメリカの会社許可が必要な業務がある。
- アメリカからメールで支持を受けていた。
等の理由で『恒久的施設(PE)』は日本にあります!と判断。
が。しかし!日米二国間協議は日本の敗北・・・
Amazonはアメリカにはそれなりの納税額を収めているため、アメリカに強くでられない日本は追徴課税を撤回させられてしまいしたとさ。
プロジェクト・ゴールドクレスト
そもそもAmazonの社内には、海外本部をルクセンブルク(タックスヘイブンとして有名)に設置、超絶複雑な小会社網のネットワーク
を利用して、他の地域の利益をルクセンブルクへ移動させるという租税回避プロジェクト「プロジェクト・ゴールドクレスト」といううものがあります。
※タックスヘイブンとは
租税回避地、低課税地域とも呼ばれ、課税が非常に低い、若しくは免除(0円)となる国や地域のことを指す。
有名な地域はアメリカのデラウェア州、カリブ海イギリス領バージン諸島、ケイマン諸島、オランダなど
なんですか「プロジェクト・ゴールドクレスト」!めちゃめちゃカッコイイ響きですね。トム・クルーズかダニエル・クレイグ辺りで映画orドラマ化できませんか?
それをprime Originalで配信したらええんですよ。節税したお金を制作費に回してコンテンツを生産するという永久機関の出来上がりですね。
その「プロジェクト・ゴールドクレスト」ですがアメリカでは裁判に勝利、合法となります。
EUではAmazon敗北、ルクセンブルクがAmazonを依怙贔屓していることが違法とされました。
EUの欧州委員会はルクセンブルクにAmazonに追徴課税で330億円取り戻せと指示しました。
2016年にもアイルランド政府に税優遇を与えたアップルに対して追徴課税を指示しましたがアイルランド政府が全然動かないので
裁判やるぞ!と鼻息がフンフンしています。
EUの課税強化に対してアメリカは「アメリカの企業ばっかり狙い撃ちじゃない?」と不満タラタラの様相。
日本やEU等約60カ国が
国際的な租税回避を防ぐ多国間協定に署名しているのにアメリカは参加してないのはダブルスタンダードな気がするんですが・・・
トランプ的にはアメリカ・ファーストなので自国にさえ税金が支払われれば他の国は知ったコッチャねーというところでしょうか?
まとめ
実際、日本にほとんど税金を払っていませんね。Amazon。
※消費税はキチンと支払っている模様。
Amazonギフト券の買取がこんなに盛んな国も日本以外にはないと思うんですが・・・
もうちょっと日本に利益還元して下さいよベゾスさん・・・